訪問所感

患者さんとのいろんな距離感

1.進行性の難病の方

患者さんは50代の男性です。

体が段々筋力低下していき、下肢はほぼ動かなくなり日常生活が現在大変な状態です。

同じ境遇にならないとなかなか口先だけの共感になってしまうので、なるべく患者さんと同じ体の状態になったらこういう動作は出来ない、大変だ、、を自ら体を動かして実践して

ここも辛くないですか?と伝えるようにしています。

例えば、下肢が動かせない状態で両上肢の力だけで椅子からソファーに寝てみる。

普通は手指の力でどうにか体を持ち上げられますが、手指が開きにくい状態だと手の平で体を浮かせないといけませんが、力を入れて体幹を傾けないとびくともしません。

手指の握力やつまむ力がないと下着もズボンもあげられません。

進行を止めることも、病気を治すことも私にはできませんが、

肩の可動域範囲をしっかり動かしたり、股関節のストレッチ、開きにくい手指のマッサージを行い、日常動作を少しでもスムーズに過ごせるサポートは出来ます。

この方の施術はその日その日で症状が変わってくるので、随時要望、大変なことを聞いてそれに合わせた治療をしています。

「進行性だと今使えている筋肉もどんどん体が動かなくなるんだよな・・・」

「いつまで自分でトイレや食事が出来るのかな・・・」

私の仕事はマッサージ、鍼灸、機能訓練を行うことです。

食事やトイレの介助は別の方の仕事です。そしてケアマネさんやいろんな方のサポートを受けていらっしゃるのでそれぞれのプロにお任せするのが1番と思っています。

なかなかこちらもポジティブなコメントは言えず、毎回考えさせられることだらけですが、ご本人は「まぁーしょうがないよね」ともう割り切れているようです。

気持ちに寄り添いつつ、あまり持っていかれないように割り切り、

私は自分の任務を全うしようと思っています。

2.動かせる人にはどんどんトレーニングを行う

健康な私もそうですが、動かさないとなかなかスムーズに動かせなくなります。(風邪でダウンした時やランニングで思い知らされます・・笑)

とらこの担当している寝たきりの患者さんも同様です。

しっかり手をグーの形で握れませんが、手指は少し曲がります。一緒に「グーパーグーパー」と声がけしながら動かしてもらいます。右上肢は上に挙げられますが、左上肢は上がりづらいので右手で左手を上に引っ張り上げてもらいます。最初は目線の高さまで上がり、数をこなしていくと額上くらいまで上がってきます。

寝たきりの方=あまり動かせない、触る時は優しく&そっとしないといけない

と勝手なイメージを持っていましたが、寝たきりの方でも動かせたり、使える部位はあります。

ご本人が痛いと言わない限りは運動の指示を出していきます。

自分で動かすとしっかり筋肉が伸び縮みし、関節も動かされ体がポカポカしてくるのも実感してもらえています。

「今日も動かしていきましょう!!おぉー良いですね♪」と明るく、ポジティブに、を意識しています。

3.死にたいとお話しする方

お部屋に入るなり、少し泣かれていました。

「どうしました???」

事情を聞くと

「今までも失禁していたが少しだったのに今日は無意識で出てしまった、今までこんなことはなかった、病気かもしれない、死にたい」とのことでした。

まずは濡れっぱなしでないか?着替えられているか?確認し大丈夫そうだったので、

下肢のマッサージ(さする)しながら20分間お話し聴きました。

・娘さんにも連絡した

・おむつ&パッドも履いている

・朝食時も漏らさないか心配だったが大丈夫だった

認知症の方ですが、まだまだしっかりされている方です。

正解は分かりませんが、この方のお話を聞くだけ(こちらの意見言わない)がベストかなと思い「うん、うん」と傾聴していました。

話していると少し落ち着かれてきたので一安心。

その後娘さんとも電話でお話しして、話を聞いてもらえると助かります、頼りにしていますとお話ししてくださいました。

患者さんとご家族をつなぐ重要な役割だなと再認識しました。

認知症の方にとってはマッサージもしてくれるけ話を聞いてくれる人の認識でいいのかもしれないなと思いました。

患者さん1人1人症状も、性格も違います。十人十色です。

その方にとってベストな対応を日々模索しながら接し方や距離感を考えています。

自分の色も出しつつ、引くところは引き、押すところは押して、

患者さん&ご家族との関係性を大事にしたいと思いながら仕事しています♪

この記事を書いた人

とらこ
・鍼灸マッサージ師
(3児の母 トライアスロンに挑戦したいアラフォー)