疾患別アプローチ

めまいに対するアプローチ方法

ここではめまいについて解説したいと思います

・概要(どういう病気?どういう状態?)

めまいは、体のバランスを保つ仕組みが上手く働かなくなることで起こります。

身体の平衡(バランス)を保てなくなる状態のことを指します。

・症状 臨床所見

回転性(ぐるぐる):天井が回る、メリーゴーランドに乗っている感じ、景色が流れる感じ

  • 中枢性のめまい(脳幹・小脳の異常):脳血管障害、脳腫瘍
  • 末梢性のめまい(内耳・前庭神経の異常):良性発症性頭部めまい、メニエール病、突発性難聴、聴神経腫瘍、前庭性神経炎

浮動性(ふわふわ):船の上に立っているような

失神(ふらふら):血の気の引くような、風呂場で急に立ち上がった時

  • 頚椎の異常、血圧の異常、代謝・内分泌の異常、アレルギー性疾患、自律神経障害、眼科、婦人科

ここでは特にめまいで多いとされている

【良性発作性頭位めまい症】

【メニエール病】

【突発性難聴】

の3つの疾患に絞って説明していきます。

・鑑別

めまいがどんな時に起こったのか?

・朝起きあがろうとした時

・頭動かした時

・立ち上がった時

・お風呂上がり

・何の前触れもなく急に

どのくらい時間めまい続いたか?

・数十秒?数分?

・毎日?数日?

めまいの他に何か症状は出たか?

・耳鳴り

・難聴

・頭痛

  • 手足がしびれる
  • 口の周りがしびれる
  • 舌がもつれる
  • 目がかすむ
  • 物が二重に見える
  • 意識が薄れる、意識を失う
  • まっすぐ立って歩けない
  • 激しい頭痛  

めまいの他に上記の症状が出た場合は脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の可能性もあるのですぐに救急車を呼ぶ必要があります。

起床時や寝返り時に起こる。頭の向きを感知する耳石がはがれて三半規管に入り込んでしまう➕回転性めまい(数分以内)・・・良性発作性頭位めまい症

何度も再発する。内耳のリンパ液が増え過ぎる➕回転性めまい(1日以内・難聴・耳鳴り)・・・メニエール病(※メニエール病の中には、聞こえだけが悪くなったり、良くなったりを繰り返す蝸牛型メニエール病や、めまいだけを繰り返す前庭型メニエール病もあります。)

突然のめまい(数日持続)➕即時の難聴・・・突発性難聴

・予後

良性発作性頭位めまい症

身体の傾きを伝える「耳石」が三半規管に入り込み、リンパ液の流れが乱されることが原因と考えられています。「耳石」は加齢とともにはがれやすくなるため、高齢になると「良性発作性頭位めまい症」を発症しやすくなります。
めまいの原因の20〜40%程度がこの病気で、耳の異常によるめまいの中で最も多いといわれています。朝起きるときなどに、頭を動かしたり、頭を特定の位置に動かしたりすると回転性めまいが起こります。ただし、すぐに楽になって症状が消えます。めまいの持続時間は数秒から数十秒くらいです。

メニエール病

突然激しい回転性のめまいが起こる内耳の病気です。
めまいとともに、耳鳴りや難聴、耳閉塞感(耳が詰まったような感じ)などの症状があらわれることが多くあります。また、吐き気や嘔吐、冷や汗、頻脈などを伴なうことも多いです。
めまいは繰り返し起こることが特徴で、発作を繰り返すうちに耳の症状が進行し、日常生活に支障をきたす場合があります。メニエール症は、完全に治すことは困難な病気です。内耳を満たしている内リンパ液が増え過ぎるて内耳がむくみ、めまいが起こります。この状態を内リンパ水腫と呼び、めまいのほか、難聴や耳鳴り、耳がつまった感じなどの症状を伴うことがあります。メニエール病はきまじめな方や凡帳面な方に多いといわれております。

突発性難聴

ステロイドによる治療が効果的と考えられているようです。発症した時は、肉体的な疲労やストレスを感じている方が多いですので、大事なことは心身共にとにかく安静にして、ストレスを解消することがいいようです。

・徒手検査

【鑑別】に記載した問診で、実際動かしてもらい何が原因かを鑑別して、それに合った施術&ひどいようであれば病院受診を勧めるのも1つかと思います。

以下は病院で行われる検査をあげてみました。

眼振検査

めまいの程度を調べる検査です。めまいがしている間、眼球は激しく揺れます。この動きを眼振と呼びます。 この検査では軽い眼振も観察できるよう、特殊なメガネを使うことが一般的です。

体平衡検査

からだのバランスを調べる検査です。 両足または片足で立って、目を開いたときと閉じたときとで、からだのふらつき具合がどの程度違うかを観察します。

聴力検査

耳の病気が原因かどうかを調べます。

画像検査(CT、MRI)

脳の病気が原因かどうかを調べます。脳梗塞・脳出血、脳腫瘍などがないかどうかを確認します。

温度刺激検査

耳の中に冷たい空気を入れて検査します。内耳が健康な場合には、内耳が刺激され、めまいがします。このめまいは、約2分で完全にとまります。しかし、内耳に病気があるときは、めまいがしないか、健康な側と比べてめまいを弱く感じます。この検査で、めまいを感じているときは、フレンツェル眼鏡をかけて、外側から眼の動きを見ていると、眼振が観察できます。この検査も、めまいの診断に欠くことのできないものです。

・症状に対してどうアプローチする

マッサージ、ストレッチ、鍼灸、機能訓練

マッサージではより後頭下筋群や胸鎖乳突筋、斜角筋、肩周辺や側頭部の筋緊張をゆるめ内耳や脳への血液循環を促し緊張を解いて副交感神経を優位にすれば多くのめまいの症状が改善できると考えられます。

ストレッチでは頸の前側・横のストレッチを行っていきます。右手のひらで左の側頭部に手を当て自重の重みで右側に倒していきます。反対側も行い斜角筋を意識して伸ばしてもらいます。顎の下に両手の親指を引っ掛け頸を上に上げてもらいます。そうすると頸の前側の筋肉が伸びていきます。高齢の方は多くは円背や同じ姿勢でいることが多いため、首の可動域が少ししか動かない方が多くいらっしゃいます。

鍼灸治療

耳の疾患に有効な経穴だけを選穴するのではなく、目や鼻との関連性も考慮して選穴する必要があり、《百会》《風池》《和髎》《頭臨泣》《翳風》《翳風》《耳門》のツボを使っていきます。また、目、鼻、耳の症状に効果を及ぼす《合谷》もいいと思います。

機能訓練

椅子などに座ってテレビや壁にかけた絵、カレンダーなど何か一点を見つめたまま、①いやいやをするように首を横に振ります。②首を左右にたおします。にうなずくように動かします。③首を回します。どの練習でも、見つめているものから目をそらさないことが大切です。

参考書籍

・高齢者の解剖生理学

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この記事を書いた人

とらこ
・鍼灸マッサージ師
(3児の母 トライアスロンに挑戦したいアラフォー)