こんにちは、しょちょーです。
訪問術者なら一度は対応する「寝たきり」患者についてです。
こう思ったことはありませんか?
- 傾眠傾向であったり、発語も不明瞭なこの方にマッサージ(や鍼灸)をする意味はあるのか?
僕自身も始めの頃は治療意義を捉えられず、悩みながら施術を実施していたことがあります。
今日は、そんな方に治療する際の意義について考えてみたいと思います。
「治らないから治療しない」は浅い考えと言わざるを得ない
過去、勤めていたときに同僚や部下からよく言われました。
- 「治らない人の施術に入る意味が分からないんですよね」
- 「もっと難しい(けど治る見込みがある)方を見させてください」
気持ちは分からなくもありませんが、このような発言をする方には難病患者や、治療難易度が高そうな方は見させませんでした。
何故、この方やこの方の家族が訪問鍼灸マッサージを希望しているのかが分かっていないからです。
寝たきり患者の場合、介入意義は高い
寝たきり患者の場合、次のような経過を辿りご逝去となります。
- 寝たきりだが、体位変換の回数が足りない
- 褥瘡発生
- 強い疼痛に悩む
- 屈曲拘縮の加速
- 誤嚥性肺炎で入退院を繰り返す
- ご逝去
在宅にしても施設にしても、体位変換の絶対数はギリギリです。
なぜなら他にもみるべき利用者さんが多くいるため、一人に取れる時間が少ないからです。
在宅ケアで介護士の介入があったとしても、メインはご家族自身のケアとなります。
ご家族の方にとって介護経験というのは無いに等しいわけですから、どの程度体を動かして上げればよいかは想像がつきません。
だけど、鍼灸マッサージ師の介入があれば全身くまなく関節を動かしてあげられるし、褥瘡発生部位を見越して血液循環の促進を促すことができます。
要は、上記①〜⑥までの過程を食い止めることができるわけです。
「それってただの延命処置じゃん」
って思った、そこのあなた。
その通りですm(_ _)m
想いを感じ取れると、治療意義が見いだせる
では、なぜそもそも訪問鍼灸マッサージを利用したいと思ったのでしょうか?
ここが明確に分かると、日々の施術モチベーションは変わるはずです。
昔、Eさんという寝たきり患者さんがいました。
発語も不明瞭で、ほぼ寝たきりです。
ずっと天井を見つめているだけで、自身から何かアクションを起こすこともなくぼーっとしています。
ですが、1週間に一度ご家族の方が見えるのですが、そのときはEさんはニッコリ微笑むのです。
ご家族の方もEさんとお話をすることが楽しみな様子でした。
そんなEさんもしばらくして誤嚥性肺炎でご逝去されてしまったのですが、ご家族の方は号泣しており大変に悲しんでおりました。
はっきりと聞いたわけではありませんが、ご家族の方にとってはEさんは大切な家族で、一緒にいる時間がもっと欲しかったのだと思います。
ご家族の方に会えたら、色々と聞いたほうがいい
現在僕が見させてもらっている患者さんでも、ほぼ寝たきりの方はいます。
施設にいらっしゃる方で、お話される内容もほとんど同じで認知症状は強く出ていますが、ご家族の話題を降るといつも楽しそうにお話されます。
ある時、娘さんがいらっしゃっており「もう高齢なのでいつ亡くなってもおかしくないよね」と仰っておりました。
でも、わざわざ遠方から会いに来ているということは、まだ生きてて欲しいと思っているからだと思います。
どんな状態でもまだ生きててもらいたいと。
それはもしかしたら患者さん自身のためではなく、娘さん自身の精神衛生上のためかもしれません。
それでいいのだと思います。
患者さん自身には社会活動はもうできない状態となっていますが、娘さんはまだまだ社会性があって、様々な人に影響を与えています。
このあたりまで考えながら施術ができると、毎回同じ話をされたり、寝たきりで意思疎通が図れなくなっている患者さんでも、施術する意味合いが出てきます。
それと、、、施設側からしたら、長く在室してもらった方が収益にはなりますし、身体機能の維持が図れたら介護士さんたちの負担も増えません。
最後のはお金がからんでいやらしい雰囲気もありますが、これも事実です。
関わっている人たちの立場から見た患者さんを想像してみると、一人ひとりの治療意義が見いだせるはずです。
今日は以上です。
それではまた^_^